ひょんなことで2chに晒され転がり落ちたMMORPGの話(後編)

※記憶から書き起こしているので事実とは会話内容・時系列が異なる可能性があります。見えるところで以前ぶつぶつ呟いていた話なので秘匿性は低いです。

FF14を始めて数か月が経った。

“ハムスター”と名付けた4頭身のちびキャラを操作し、釣りを楽しみ、ギルドに勢いで加入させられ、マイペースに遊んでいたが、事件は突然やってきた。

↓前回のお話

◆事件、襲来

ある日、サブマスは言った。

「ギルドメンバー全員、2chで晒された」

「「「えっ」」」

説明する必要もないと思うが、一応。晒しとは、個人情報や、ネトゲでプレイヤーを特定できる情報をネット掲示板に書き込む行為だ。書き込む場所は皆さんおなじみ、巨大ネット掲示板2chなど。(この頃には既に移管されて5chに変わっていたかもしれない)。晒す目的は人それぞれで、注意喚起のほかに個人的な恨みで書き込まれたりする。

ギルドのメンバーが晒される要素なんて、全く思い浮かばなかった。彼らのほとんどが人当たりのいい社会人なのだ。ギルマスとサブマス以外。

いったい、何が起きたんだ?

話を聞くと、どうやらギルマスFF14専用掲示板で2chの住人を煽ったらしい。

なんで??

URLを教えて貰い掲示板を覗くと、それっぽい書き込みを見つけた。「かかってこいよ、俺のキャラ名はこれだぞ」的なことが書いてある。口調がギルマスっぽい。

本当に本人が書いたのか?

スクロールして読み進めると、誰かが貼った画像が現れた。

見覚えのあるキャラクターの面々だ。自分のキャラ含むギルドメンバー全員分の顔アイコンとキャラ名が1つの画像にまとめられ、投稿されていた。「こいつら全員注意。ギルマスの頭がおかしいギルドというコメントを添えて。

※FF14公式サイトでは任意のプレイヤーキャラの情報・画像を取得できる。ゲーム内で隠し撮りせずとも簡単に晒せてしまうのだ。

本当にメンバーが全員、晒されているじゃないか。

ギルマスにTwitterのDMで「何やってんねん」と送ったところ、返事が返ってきた。確かに本人が書き込んだらしい。理由も聞いた気がするのだが、なぜか全く覚えていない。記憶に残らないほど、どうでもいい内容だったのかもしれない。

「君、なんてことしてくれてんねん。やっちまったなー、また来世会いましょう!」

と送った。そうしたら

「来世ってなに?俺にしねってこと?」

と返ってきた。どうせキャラ作り変えて転生するんだろ、という意味で送ったのだけど。

これがギルマスとの最後の会話になった。

その後、ギルマスは大量の薬の画像をTwitterにアップして音信不通になった。

ギルマスが死んでたらたぶん自分のせいです。

 

◆鍵の掛かりしもの

ある日、サブマスから目を疑う指示がきた。

「Twitterに鍵を掛けてほしい。晒されてしまっては、どこから足がつくか分からない。以前2chで家を特定されて刺されそうになったことがある。」

なんで??

何をどうしたら特定されるのだろうか。リアルお友達に晒されのたら乙~としか言えないが、それが事実だとして、不安なら自分だけ鍵をかければいいのではないか。

「我々は関係なくないっすか?」

「ハムスターさん、お願いします」

「えぇ…このアカウントで絵とか投稿してるんすけど…」

「重々承知です、申し訳ない。ほとぼりが冷めるまで」

やんわ~り反発してみた。が、彼にはあまり響かなかった。FF専用のアカウントじゃないんだけどなぁ…。不服である事を主張していたが、面倒になってきたので諦めた。

結局Twitterアカウントを持っていたN(仮)さんと一緒に鍵をかけることになる。どうしてこうなった。

隠れてますよ~アピールでその時だけ名前を変えた。微妙に沈んだ気持ちを盛り上げるため、はむはむパラダイスに変更した。気持ちが少しだけパラダイスになった。相互さんには心配された。

何故お絵描きアカウントで鍵を掛けなくちゃぁいけないんだ。虚しいことこの上ない。サブマスへの好感度が少し下がった。この件をきかっけに少しずつ溝が広がっていった気がする。


◆ちょっとなに考えてんのかわかんないっす

話が逸れるが、この頃サブマスからTwitterアイコンの作成を頼まれた。彼が操作しているネコ耳人間のキャラクターを描いてほしいと。

日頃からゲームの知識面でお世話になっていたので、まぁいいか、と了承した。

数日後、数時間かけてアイコンを完成させ、渡した。彼はしばらくその絵をアイコンに設定していた。

後日Twitterを開くと、サブマスのアイコンは違うものに変わっていた。この絵柄は見覚えがあるぞ。一緒に鍵をかけたNさんの絵だ。どうやらNさんも同じことを言われ、サブマスのキャラクターを描いたらしい。

なんで??

自分が描いた絵はどこにいった??

意図がわからない。なぜ別の人に、同時期に、同じ絵を頼むんだ。服装まで同じだぞ?自分の数時間返して欲しいっす、ちょっと何やってるかわかんないっす、と言いそうになった。放送禁止用語を飲み込んだ。

短気で狭量でプリンメンタルなマイハートを抑え込み、この件はなんとかスルー。

サブマスへの好感度が更に下がった。元々、効率を求めたプレイスタイルのサブマスとは反りが合わないと思っていたが、この性質を見てしまうともうダメだ。心の溝がマリアナ海溝並に深まっていく。

Nさんは全く悪くない。頼まれたから親切心で描いただけだろう。立場としては自分と同じ、同志だ。Nさんの事は一方的に尊敬していたので好感度が下がることはなかった。

・・・


サブマスと出会う前は他の人から願いされてアイコンを描いたり、勝手にアイコンを描いてプレゼントをしていた。しかしこの件がきっかけで、それらの行為は一切やらなくなった(オリジナル素材は除く)。作ったものを無下にされた場合、自分へのダメージしか残らない。

いまでは「アイコン描いて欲しいです。タダで。」というメッセージを受け取ることがあるが、全て丁重にお断りしている。「既存のイラストはご自由にアイコンでご利用頂けます」と添えて。慈善活動でダメージを負うなんて、もうまっぴらごめんだ。

代わりにpixivFANBOXに有料のアイコン作成プランを作った。対価を頂いていれば、成果物をどのように扱われようと納得出来る。現金な話だが、保身のために必要だったので結果オーライ。

◆マグマダイバーギルマス

しばらくTwitterで沈黙していたギルマスが動く。

彼は、本人の顔写真(中の人)Twitter投稿した。

なんで??

死んでなかった。

ギルマスの表情は、人を挑発するように歪められていた。否、変顔といった方がしっくりくる。ジャイアンにちょっと似てた。

「あれでも俺の顔より整ってるんだよなぁ」

サブマスが謎のフォロー発言をした。やめたまえ、やめたまえ。ネットで顔面偏差値の話はあまりしない方がいい。惨めな気持ちになる。

彼らは互いの顔面を知ってるのか…なるほど、と思いつつ、全世界に痛々しさと顔面を晒してしまったギルマスにただただ驚いた。

ギルマスのTwitterアカウントに鍵はかかっていなかったので外からは丸見え。2chはまた少し盛り上がっていた。

これが若さか…。

ギルマスの顔写真は面白かったので保存してまだ持っている。

◆サブマス、ギルマスの座

ギルマスが戻ってこないので、サブマスが新たなギルドを立ち上げ、メンバーのほぼ全員がそちらへ移動した。新ギルマスの誕生である。ややこしいので呼び名はサブマスのままとする。

チャットだけ利用出来るギルドだったので、帰る家が無くなってしまった。といっても、家では写真を撮る以外にやる事がなかったのであまり気にならなかった。

◆サブマスの決断

しばらくはサブマスと適当な距離感で適当にやっていた。

彼は「新しい家、欲しいね」といい、メンバーはみんな「そうだね~」と返す。若干どうでもいいな~と思いつつ、「そうだね~」とその場のノリにあわせて同意しておく。

家の中じゃ、釣りできないからね。

なんて緩い考えで過ごしていたら、サブマスがこんな事を言った。

「新しいお家を買うために、1人頭100万円、ご協力をお願いしたいです」

ひゃっくまんえん!!

生返事してる場合じゃなかった。困った。こまったなぁ。ギルド新設の際にこっそり脱退しておけばよかった。

◆最後の草

自分が唯一知る金策は、湿地のフィールドに赴き1個数百円の草を無心で刈り続けることだ。ダンジョンに潜って、レアアイテムゲット!一攫千金!なんてことが可能な強さは持ち合わせていない。時給5万円以下。目指すは100万円、1日のプレイは2~3時間、かかる日数は……うーん

「ちょっと、時間がかかります」
「肩代わりできますし、そんなに焦らなくても大丈夫ですよ」
サブマスは気軽に応える。
「いえ、だいじょぶです。用意します。」

人からお金を借りる?いやぁ。ゲーム内ならちょっとくらい、と思われそうだが、それはムリな話だ。借金は心の健康によろしくない。

100万円というノルマ、プレッシャーを背負ったまま釣りを楽しめる気もしない。速やかに働いて速やかに100万の重荷を無くすプランでいこう、よし。

そんなわけで、愉快な草刈り生活が始まった。

仕事が終わって風呂とご飯をすませログインして2~3時間、チョコボにまたがり、おりて、草を刈る。チョコボにまたがり、おりて、草を刈る。頭の中は草、草…そして寝る。ただそれだけを繰り返し、1週間。

「サブマスさん、100万円送りました」
「確認しました、ありがとうございます!」

無事にゲーム内通貨100万円をサブマスに納めた。残りの所持金はお察し。お疲れ、自分お疲れ。

この1週間を振り返ると、草を刈った思い出が優しく蘇った。草の記憶しかねぇ。夢にまで出てきた。アハハ、草刈り。正雄

毎日カブに水をやり、鶏の卵を拾い、牛の乳を絞る牧場ゲームの方がまだストーリー性を感じられる。

草刈りにストーリー性もゲーム性も皆無。自分と同じように金策をしているであろう知らない人のケツを追いかけながら、ただ草を刈っていただけだ。

金策の目的はなんだ?家だ。

釣りスキルを上げるぞ!牧場をでっかくするぞ!などといった希望も野望も感じられない空虚な目的。家を本気で希望していた仲間たちには申し訳ない話だ。

心はすっかり、虚無虚無プリンだった。

◆心のかたち、ギルドのかたち

新しい家が建った。と思う。

正直、覚えていない。

よく雑談で盛り上がった人間(♂)とネコ耳(♂)のカップルは、いつの間にかログインしなくなり、一緒にTwitterの鍵を掛けたNさんは、別のサーバへ移転した。

自分も数週間かけて、ログインの頻度を減らしていった。草刈りで虚無ってしまったのか、伽藍堂のようになってしまった場から逃げ出したくなったのか。そうなるに至った理由はいくつかあったと思う。

変顔ギルマスが居なくなるだけで、ギルドのメンバーが少しずつ去っていき、チャットの雰囲気はどことなく陰っていく。

この頃にはTwitterの鍵を解除した。サブマスは鍵を掛けたまま、ぽつり、ぽつりと他のゲームやFF14の愚痴を呟いていた。

彼の淀んだ愚痴を見ながら、Nさんが新しい世界で楽しそうにやっている様子に安堵しながら、他にも抱えていた複数の悩みを解放するべく、ぽいぽいプリンのアカウントがあるしまぁいっかと、予告無しにハムスターのTwitterアカウントを削除した。

◆ギルマス、逃げ出した後

晒されて以来FF14に姿を現さなかったギルマスだが、事件からそれなりに日数が経ってから、キャラクターの存在が消えてることが判明した。キャラ名を変えて他のサーバーに移転したのかもしれない。その辺りのシステムはよく分からないが。上手いこと逃げていったらしい。

いつの間にかTwitterアカウントも消えていた。

今も広大なネットのどこかでお得意の下ネタを叫んでいるのだろうか。

◆せめて、自分らしく

晒されてから引退まで、もの凄い勢いで坂を転がり落ちるようだった。

登り詰めて、落ちていく経験は、もう十分だなぁと思う。


インターネット上で関係性を築いて維持するのは、それなりに精神力を使う。FF14で一人でずっと釣りに興じていたのも、新たなグループに入り継続していく気力・体力が少なかったからだ。

少ないというか、最大値が年々減っているのを自覚している。時間が経っても最大値はもう回復しない。どのくらい減っているかというと、

コミュニティ継続最大ライフ
高校生 :10
大学生 : 8
社会人N年目  :4
社会人いま :2

こんな感じ。

コミュニティ・人間関係で残ライフが0になると、予告無しでアカウント削除をやらかす。

Twitterは2009年から利用しているが、予告なしのアカウント削除は前科二犯だったりする。

ぽいぽいプリンの結末も同じだと思う。きっとある日突然、パッと消える。そうならない為にもあらゆる事柄に深入りしないように、人と仲良くなりすぎないように、少しは気を付けている。

オフ会は出来る限り一期一会。会話は数か月に一度、一過性の、適当な雑談ができればそれでいい。

着地点が見えなくなってきた。

そんな感じで、コミュニティライフは今2/2だけども。突然消えていなくなってしまうかもしれないけども。うっすらと関わってくれると嬉しい。


素材サイト用に作ったTwitterアカウントは人間関係が生じないので、サーバー代を払い続ける限りは生き残る。生存確認をしたい方は、フォローお待ちしています。普段はミュートでいいと思います。⇒ Twitter:@yuruisozai

FF14では尻すぼみな結末を迎えてしまった。

そうはいっても今回の結末はまだ穏やかな方だ。学生の時にプレイしていたFF11では有り余る体力を活用し、色々とやらかしていた。軽くあげてみると

・ひょんなことから夫婦を引退させてしまった話
・猛アピールしてゲーム内結婚して貰った話
・人気の美少女フェイスのサブキャラで遊んでいたら40歳独身男性からアプローチを受け、ケアル下僕ができた話

うーん。詳細を語るは必要ない…かな?

コメント

  1. […] を作ったのは「このキャラ描いてください!」といったDMを体よく断るためだった。経緯はこちらの記事参照。自分の無償の時間をそのへんにポイっと捨てられるのがとにかくイヤなって […]

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